私と上司の秘密
息苦しくて、私は、いつものことだが、
毎回慣れることなく、この少しの時間が
憂鬱だ。


しかし、満員にも関わらず、今日は、息苦しさを感じない。

下を見ていた私は顔を上げると、少し私と距離をあけた清水君が立っていた。

そこの周りだけ空間があり、息苦しさから
逃れることが出来た。


私達の所属しているフロアの階に到着して
足早に二人で降りた。


降りたと同時に「ふうっ」溜め息をついた。


「ぎゅうぎゅうの人混みのエレベーター、
嫌いなんですよね?」

「何で
知っているの?」

『そんなこと、誰にも話したこと、ないのに…。』

「何で、知っているのかって顔をしてますね。
いつも僕に気付いてないみたいですけど、
よく一緒のエレベーターに乗っているんですよ。
その時の先輩、憂鬱のオーラ出しまくって
いますし。」

そう言いながら、ケラケラ笑っていた。


「…もしかして、さっき、わざと私と距離
あけて空間、作ってくれていた?」

「はい。
本当は、先輩と密着したかったんですけどね。」

そう言いながらまた、笑いこけていた。

「ありがとう。
でも、先輩をからかったら、だめだよ。」

「何かいつも冗談だと思っているみたい
ですけど、本当のこと言っているんですけど…。」

「もう、朝から冗談ばかり言って。」

「僕のこと、全く信用してないって感じですね。」


二人で並んで歩きながら、会話をしていると、すぐに所属先に着き、普段通りにデスクに
行った。
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