私と上司の秘密
「…いや、違うんだ。
そうじゃなくて、…俺は、自分のことが、
分からないんだ。」

「…。」

黙って聞いていた。


少し取り乱しているようにも見えた。


課長は、一度遠くを見た後、私に視線を向け、


「凛の脚は、好きだ。
でも、それだけじゃない。
凛の全部も好きだ。
凛を誰にも渡したくない!
凛を自分だけのものにしたい。
凛の全部が欲しい。
…やっぱり、これは、凛のこと、
好きなんだな。
…きっと。
うん、そうだ。
俺、凛のこと、好きだわ。」

課長は、自分で話したことに、納得している
ようだった。


私は、自分の口元が緩みにやけているのが、
自分でもよく分かった。


「…もっ、もういいです。
それ以上、言わないで下さい。
恥ずかしいです。
…から。」


私は、課長の言葉が甘過ぎて、聞いていることが、これ以上、堪えられそうにない。


両手で、思わず耳を塞いだ。


「何で聞かない?
俺のこと、好きじゃないのか?
嫌いなのか?」

そう言って、課長は、私の顔を覗きこみながら、私自身が塞いでいた私の耳を課長の両手で離してきた。


きっと、私の全身は、真っ赤になっていると
思う。


それほど恥ずかし過ぎて、熱い。
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