記憶ノ時計
1時間ほど話したあと。


「そろそろ帰るな。ここ、綾那の家じゃないし、何時間もいたら失礼だろ」


「わかった。じゃあね、みぃちゃん」


みぃちゃんは荷物を持って立ち上がった。


「綾那。無理にとは言わないけど、明日学校こないか?」


ドアの前でみぃちゃんが振り返りながら言った。


「え?」


「やっぱさ、綾那がいないとつまんないんだよね。怜くんには悪いけど」


そう言ってみぃちゃんは笑いながら頭を掻く。


「みぃちゃん………」


私は嬉しくて立ち尽くす。


「勉強なら、まだそんなに先に行ってないし、私と怜くんで教えられらとこなら教えるからさ。皆も綾那に会いたがってるし。記憶のことなら私がサポートするからさ」


みぃちゃんは私にニカッと白い歯をみせた。


私はなにも考えずに、コクコクこ頷いた。


「い、行く!」


そしたら、みぃちゃんは嬉しそうだった。
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