恋愛ジャーニー
パンクした自転車を手で押しながら、彼と並んで川沿いを歩いた。
周りの景色がずっと変わらないので、いつもは果てしなく遠く感じるこの道だけど、
今日は少し違っていた。
彼と私の間に、静かな時間が流れた。
さっきとは違って、お互い沈黙の時間の方が圧倒的に多かった。
初対面の人との沈黙の時間ほど、私が苦痛に思うことはないのだけれど、彼とならそれが苦しくないことに気付いて驚く。
……たかが、行きずりの人なのに。
桜木町までの道が、いつまでも続けばいいのに、と心の中で願わずにいられない自分がいた。