ただいま。

カランッと、コップの中の氷が動いた。



「でも、そこに俺という救世主がたまたまかけつけられたから、今こうして、ちゃんと『有岡鳴』がここに居る」



「・・・・・・」





「よかったな、鳴。・・・もう、一人で抱え込まなくていい。俺も、なんなら叶も、お前らの味方なんだし。記憶喪失、だったとしたら今よりすげぇ大変だろうけど、逃げずにさ。鳴一人じゃないからさ。みんなで戦っていこう。・・・なーんてクサいこと言ってたらちょっとトイレだわ」






あー、トイレトイレ、と言いながら潤が部屋から出て行った。



俺はゆっくりと天井を仰ぐ。




しばらくその状態でいて「あ・・・」と、今度は下を向いた。



さっきカランッと音を立てていた氷。

また小さくなったな。




「・・・潤のやつっ…変に気、つかって・・・っ」



本日、2度目の気づかい。





優しくて、温かい、気づかい。










俺はそっと、袖で頬を伝う滴を拭った。



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