優雅に舞う天使と花(加筆修正版:更新中)

しかし、赤羽さんが運転する車は

駅とは全く違う方向へと走っていく。


「……あれ?
赤羽さん…ここってあの…。
駅の方向とは違うんじゃ……。」

駅に向かういつもの景色ではない場所に

窓の外を見ながら思わず呟いた私に

「…ああ……そうだ。
俺は駅には向かってない…。」

表情を崩さずに

赤羽さんは前を見たまま即答した。


「…えっ!?駅じゃないって…。
あの…赤羽さんどこ行くんですか!?
この車どこに向かってるんですか!?」

てっきり私を駅へ送り届けるものだと

思っていたから

「…あ、赤羽さん?」

オロオロと戸惑い始める私に

表情を変えない赤羽さんから

「…いいから黙ってろ!!」

と、低い声でピシャリと言われてしまい

「…はい。」

私は本当に黙っているしかなかった。


車は全く知らない景色の中を

どんどん進んで行く。


私は窓の外を眺めながら

一体どこへ向かうのかずっと考えていた。


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