「異世界ファンタジーで15+1のお題」三
*
「ふぁあ~~…」
思いっきり両腕を伸ばし、大きなあくびをしたセスがフォルテュナの方を振り向いた。
「すまなかったな…まさか、こんなことになるとは思わなくてな。」
いつもより少しかすれた声でセスが言う。
「確かに驚いたよ…」
そう言いながら、フォルテュナは口許を覆いながらゆっくりとあくびをした。
ちょっと腹を満たすつもりが、二人の思惑とは裏腹に、食事もそこそこに店の客達からの質問攻めに遭ってしまった。
しかも、それだけでは終わらず、フォルテュナ達のことを聞きつけた者達が店に押しかけ、宴会のような大騒ぎが朝まで続いたのだった。
「ま、飯代をおごってもらえたのはラッキーだったけどな。」
「あれだけしゃべって食事代だけだったら引き合わないよ…」
「それもそうだな!」
セスのその言葉をきっかけに、二人は顔を見合わせて笑った。
明るい日差しの元に、二人の笑い声が響き渡る。
「そういえば、セス、この先にはもうあんな洞窟はないの?」
「多分な…あんたの町の方がどうだったんだ?
似たような洞窟は他にもあったのか?
反対側はどうなってた?」
「実は…よく知らないんだ。」
「知らない?……ってことは、やっぱり、あんたもそんな話は聞いたことがないってことだよな?」
フォルテュナは曖昧な微笑みでそれに答えた。
セスのことは信頼出来る人間だと思っていた。
「友達」と呼べる程に…
だが、それでもフォルテュナは、自分がこの世界の住人ではないということを話すことを躊躇った。
他の誰もが信じてくれなかったとしても、セスなら、きっと真剣に聞いてくれるだろうと思えた。
それでも話す気になれないのが、フォルテュナは自分でもどこか不思議な気分だった。
「世界を隅から隅まで旅した奴なんて、そうはいないよな。」
「えっ?
あ…あぁ、そうだね。」
「なんだよ、またか?」
「またって?」
「あんたは本当によくぼーっとするんだな。」
おかしそうに笑うセスに、フォルテュナもつられて笑みを漏らす。
(不思議だね…
能力をなくすと、その代わりに感情がよみがえるのか…
僕は、ここに来て本当に人間に近付いた…)
「なんだ、フォルテュナ?今度は思い出し笑いか?」
(本当に、僕は……)
「ふぁあ~~…」
思いっきり両腕を伸ばし、大きなあくびをしたセスがフォルテュナの方を振り向いた。
「すまなかったな…まさか、こんなことになるとは思わなくてな。」
いつもより少しかすれた声でセスが言う。
「確かに驚いたよ…」
そう言いながら、フォルテュナは口許を覆いながらゆっくりとあくびをした。
ちょっと腹を満たすつもりが、二人の思惑とは裏腹に、食事もそこそこに店の客達からの質問攻めに遭ってしまった。
しかも、それだけでは終わらず、フォルテュナ達のことを聞きつけた者達が店に押しかけ、宴会のような大騒ぎが朝まで続いたのだった。
「ま、飯代をおごってもらえたのはラッキーだったけどな。」
「あれだけしゃべって食事代だけだったら引き合わないよ…」
「それもそうだな!」
セスのその言葉をきっかけに、二人は顔を見合わせて笑った。
明るい日差しの元に、二人の笑い声が響き渡る。
「そういえば、セス、この先にはもうあんな洞窟はないの?」
「多分な…あんたの町の方がどうだったんだ?
似たような洞窟は他にもあったのか?
反対側はどうなってた?」
「実は…よく知らないんだ。」
「知らない?……ってことは、やっぱり、あんたもそんな話は聞いたことがないってことだよな?」
フォルテュナは曖昧な微笑みでそれに答えた。
セスのことは信頼出来る人間だと思っていた。
「友達」と呼べる程に…
だが、それでもフォルテュナは、自分がこの世界の住人ではないということを話すことを躊躇った。
他の誰もが信じてくれなかったとしても、セスなら、きっと真剣に聞いてくれるだろうと思えた。
それでも話す気になれないのが、フォルテュナは自分でもどこか不思議な気分だった。
「世界を隅から隅まで旅した奴なんて、そうはいないよな。」
「えっ?
あ…あぁ、そうだね。」
「なんだよ、またか?」
「またって?」
「あんたは本当によくぼーっとするんだな。」
おかしそうに笑うセスに、フォルテュナもつられて笑みを漏らす。
(不思議だね…
能力をなくすと、その代わりに感情がよみがえるのか…
僕は、ここに来て本当に人間に近付いた…)
「なんだ、フォルテュナ?今度は思い出し笑いか?」
(本当に、僕は……)