ゆきあそび
こむぎは私とケンカばかりしていたが、いつも一緒にあそんだ。
こむぎははると一緒にいたかったからだ。
はるは、おとなしくていつも皆より背が高く美人で賢かった。
はるみたいになりたいと思っていた。
こむぎも、きっとそうだろう。
少しだけそんな話をしたことがあった。
「畠くんってはるちゃんが好きだと思う」
こむぎは私が山本からゴーグルを借りた後に、
そう言ってうつむいていた。
「そう思う。絶対そうだよ。でもはるちゃんは田中くんが好きだからね」
私はこむぎが悲しそうに言うのと、自分もそうやって慰めたかった。
「幼なじみって結婚する?」
こむぎが私にきいた。
「私の親戚の叔母さんは幼なじみだって言った」
こむぎは少し嬉しそうな顔をした。
「畠くんのどんなところが好き?」
私がこむぎにきいた。
「やさしいところかな」
こむぎは言った。
「私も」
そう言うと、こむぎは笑って「だよね」と頷いた。
こむぎだって綺麗な子だった。
どうして、そんな風に自信が無いのだろう。
正直、畠はこむぎが好きだって思う時もあった。皆にははるちゃんが好きって話していたらしいけど、後で畠は否定していた。
私は全部それを山本から聞いていた。
山本は本当にいいやつだった。
なぜ私は山本を好きにならなかったのか、不思議なくらいだった。


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