Dear…愛する貴女よ
そんなことを考えながらほぼ記憶にない道を急ぐ。
オレの記憶にも残っていないくらい小さいときにしか訪れたことのない家・・。
住所を辿っていってだんだんと近づいていく。
だんだんと・・ゆりに近づいていく。
もう少し・・。
あと一歩・・。
あの角を曲がれば・・。
なんとも、風情のあるレトロな洋館・・。
ここだ。
間違いない。
親父に会社を任せて引退したじいさんたちが住んでいた家。
そして、ゆりが育った家だ。
ずっとずっとゆりに会いたかった。
今、ついにこの扉を隔てた先にゆりが・・。
この時を待っていたはずなのに、急に怖さと緊張で震えだした。
この期に及んで何してんだ、オレは・・。
もう自分で自分を嘲笑してしまう。
とりあえず大きく一息ついてみた。
そして、まだ若干震える手でインターフォンを押した。