獣は小鳥に恋をする










あれからまた一週間が過ぎた。



葵は変わらず朝のホームルームが終わると、どこかに姿をくらます。



「如月くんっ」



そのたびに呼び止めようと声をかける。



けれど彼は一瞬肩を揺らして立ち止るだけで、そのまま教室を出ていってしまう。



その後姿を見ながら澪はどうしようもなく悲しくなる。



支えになるどころか、彼の日常を壊してしまったかもしれない。



自分の力のなさにどうしようもなく悔しくなる。



「み、澪っ!?」



知らず知らずのうちに涙を流してしまうほどに。








幼いころから傍にいた心に傷を負った動物たちは、私たちヒトと同じ生き物だと思って接してきた。



小さな彼らだって私たちと変わらぬ心を持つのだと



様々なことを想い、感じ、傷つくことだってあるのだと。



そうやって繊細に一つ一つの命を大切に扱ってきたのだ。



それが間違っているなんて思わない。



だけれど、小さな彼らの心を救うことだってそれだけ難しいのだ。



自分と同じヒトとなれば感情はもっと複雑に絡み合い解きほぐすのは難しいに決まっている。



ましてや特別に心理学を学んだカウンセラーでも何でもない一学生。



自分の力に過信した故の結果がこれだ。



「なんで澪が泣いてんのよお」



菫に慰められながら、澪は一つの事を心に決めていた。




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