あまのじゃくな彼女【完】

足早に再び外出する山下さんを見送ると、オフィスへと向きを変える。思わぬ誘いで顔がにやけるのがわかった。

すると数メートル先でシルバーフレームが微かにきらっと反射するのが見えた。


「係長、お疲れ様です」

「あぁ、吉村さんお疲れ様」

オフィス用の隙のない笑顔を向けられた。


あの日、部下としての態度を釘指してきたシュンちゃん曰く「職場ではこれまでどおり゛吉村さん゛な。めいはうっかりつられて゛シュンちゃん゛とか呼びそうだし」とか何とか。

全く信用されてないのが腹立たしいけど、混乱している身としては有難い。

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