あまのじゃくな彼女【完】

「それ根拠あるんですか?山下さんに惹かれる・・・ってのは分かりますけどぉ。あの芽衣子さんがってのはありえないですね。そもそも、好きな人を好きな後輩を応援するなんて面倒な事、芽衣子さんにはできっこないです。先輩嘘つけないから、絶対ボロでちゃいますもん」


た・・・確かに。


千葉の話には説得力があり、何より芽衣子のウソの下手くそさったらない。
山下へ向ける嬉しそうな笑顔にしばしば苛立っていたけれど、それも勝手な思い込みだったということか。


「でも・・・それじゃあ誰だよ」

「だから係長じゃないんですかぁ?芽衣子さん、ニコニコしてどんな仕事も受けちゃうんですよ!前は〝自分の仕事は自分で頑張りなさーい”とか言ってたのにぃ。もう気持ち悪いったら・・・じっくり自分の胸に手当てて考えてみてくださいよぉ」


酒が入ったからなのか間延びする千葉の会話に少々疲れつつ。何より千葉の的を得た指摘に愕然としていた。



綾江のことだろうか。

確かに綾江は一番親しい女だ。それでも手は出さなかったし、すべてを知る気楽な友人って所だ。
綾江がきっと余計な事を言ったのかもしれない。ちゃんと自分に口で説明しなければ。

それでも結局は俺のせい、って訳か。


疑念が晴れほっとしたのも束の間、やはり自分のせいだという答えに行き付きため息が出る。

愚痴る千葉に適当な相槌を打ちながら、俺の頭はあの少し勝気な目を細めて笑う芽衣子の事でいっぱいだった。



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