あまのじゃくな彼女【完】

オフィスへ着くと、就業時間前にもかかわらず既に何人もの社員が慌しく動いていた。
少し緊張しながらも近くの女性社員へ声を掛けると、嫌な顔ひとつせずすぐに案内してくれた。


自社ビル程の広さはないものの、スタイリッシュな照明に観葉植物。各オフィス間の間仕切りはガラス張りになっており、開かれた空間であることを感じさせる。
ちらりと中を覗きながら進むと、広いテーブルが点々と置かれている。この時間でも既に、数組がミーティングらしく集まっていた。


「部長、仕事には厳しいですけど優しい人ですから。大丈夫ですよ」


にこっと声を掛けてくれた女性社員はとても愛くるしい笑顔で、それでいて身のこなしにまったく無駄が無い。
それだけで仕事が出来る人なんだろう、と容易に想像できた。


仕事、やっていけるだろうか。

私は・・・受け入れてもらえるだろうか。


漠然とした不安と、それ以上の緊張。
手に汗を握り、自分の鼓動がドクンと全身に響くのを感じる。


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