あまのじゃくな彼女【完】
「千葉さん、ちょっといい?」
視界の右端に居た係長が声をかけた。
「はぁい、お呼びですか係長」
いつもより数段あまーい声がする。
「さっきのデータだけど、これ追加分で。調査地域拡大したから、この分のベースデータ作成もお願いして良いかな」
ふんわりとした笑顔で、係長がすっと書類を差し出した。
「千葉さんデータ処理早いから。よろしくね」
「わかりましたぁ。わからない所あったら教えてくださいね」
グロスたっぷりの口元でふふっと笑った。
結婚相手探しって、係長はもちろん候補1位なんだろな。
何となくその様子を見ていると、書類を持つ係長の手を千葉さんがきゅっと握るようにして時間をかけて書類を受け取るのが見えた。
おぉ・・・これがボディタッチ!!
千葉さん肉食系だ。
妙に感心しながら一部始終を見守っていると、バチっと係長と目があった。
ニコっといつもと変わらない笑顔を返されたけど、見ていたのがばれてなんだか気まずい。
しれーっとゆっくり視線をそらし、パソコンのモニターに集中した。