あまのじゃくな彼女【完】
散らばった荷物からふと視線を上へとやると、同じようにせっせと床に向かう背中に見覚えのある姿が重なる。
「あの・・・か、係長?」
背を向けていた肩がぴくっと跳ねると、ゆっくりと視線をこちらへむけそのまま固まった。
「マジか」
「お、オハヨウゴザイマス」
しゃがみこんだまま、あぁーとうなり声をあげるとガシガシと片手で髪をかき乱した。おかげで後ろに流すようにセットされていたねこっ毛が、もしゃもしゃと爆発する。
「応援行かないんじゃなかったのかよ」
独り言とも思える程の小さなつぶやきと一緒に、係長はゆっくりと立ち上がった。
何の事?と一瞬返答に困る。係長につられるように立ち上がり荷物を受け取ると、いつかの会話をふと思い出した。
「あぁ、あの時はいく予定じゃなかったんです。でも知り合いの子にせがまれちゃって。係長も誰かの応援ですか?」
「まぁ・・・応援っていうか、似たようなもんか」