5日だけの二人
グラスの中には表現できないほどに毒々しい色合いの液体が、これでもかと言う程に異様な雰囲気で自己主張をしていた。
「さっき雄一が言ってた“ちょっと訳あり”って、この見た目の事?」
不安そうな中村の問いに、桐山は笑顔でのみ返す。 しばらくグラスとにらめっこ状態だった中村だが、やがて意を決したかのようにグラスを手に取ると、恐る恐る中の液体を口に流し込んだ。 桐山が言ってた通り、最初にピリッとした刺激が口内に広がったが、やがてすっきりとした甘味と苦味が味覚を支配する。
「…おいしい。 今まで飲んだ事無いような味だけど、びっくりする位においしいよ。 私これ結構好きかも、なんか癖になりそうな味だね。」
そう言いながら中村は残ったドリンクを一気に飲み干した。 その様子を見ていた桐山は安堵の表情を浮かべる。
「良かった。 久しぶりだからちゃんと作れるか心配だったんだ、その様子だと大丈夫みたいだね。」
その言葉に首を傾げる中村だったが、
「もしかして、喫茶店時代の人気メニューだったんかな? 最近は注文する人いないの?」
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