5日だけの二人
「なるほどね。」
何故か嬉しそうに頷く森課長。 それがなんとなく気になった光一は首を傾げる。
「君は真面目だ。 しかし、どうにも他人と距離を置きたがる悪いクセがある。 そんな君が他人の為に電車を降りるとはな、正直嬉しいのさ。」
「そんなもんですかね? だいたい他の奴らが冷た過ぎるんですよ、人が倒れているってのに誰も助けないなんて。」
そんな光一を森課長は笑顔でなだめ。
「まあまあ、きっと彼女も嬉しかったと思うよ。」
その笑顔に、なんとなく親にさとされている様な感覚になる光一。
「さてさて、とりあえず仕事始めようか」
森課長はそう言うと壁を指差す、始業時間の8時をわずかに過ぎていた。
光一と森課長はそれぞれ席につき、テキパキと自分の仕事を始める。
それから数時間が過ぎる、もうすぐ昼休み間近付近に一本ね電話が入る。 部署内の電話のほとんどは、一番の若手である光一が取る。
しかし電話機のディスプレイに表示された名前を見て驚いた。 発信先の登録名は“東堂光一”になっていたのだ。 それは光一本人の携帯からの着信を現している。 驚いた光一はポケットを探る、そこには入っているはずの携帯電話が入ってなかった。
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