5日だけの二人
この時、光一の頭の中に一つの考えが浮かんだ。 それはちょっとした好奇心、そしていたずら心であり、ミカが何をしているのかを知りたいというものだった。 しばらくして走り出した電車の中で、光一は本日のスケジュールを確認する。すると今日は営業の外回りをしてから市役所に行くだけの予定になっている。 それを確認した光一は次の駅で電車を降りた、そしてすぐに反対側ホームから電車に乗り込む。 確かミカがいたのはホームの奥だったから、できるだけ手前で降りられそうな車両を選んで万全の体制を整える。 やがて電車は先程の駅に到着した。光一はできるだけ人影に隠れるようにホームに降り、横目でミカを確認しながら階段を昇った。 そのまま改札を出て、向かいのファーストフード店に入りハンバーガーセットを注文、それを持って二階の窓際席に座った。 そこは思っていた以上に駅のホームが良く見える。ミカはホームの端にあるベンチに腰掛けていた、片手に缶コーヒーを持ち、その傍らにはもう一つ缶コーヒーが置いてある。
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