涙々~RUIRUI~
5人の内、一人はナイフを持っていたらしい。
俺を羽交い締めにして、リーダー格のやつがそれを首に当てる。殺してくれんのか。
殴られ続けて腹は痛いし、口の中も切れて何度血を吐いたか。やっと死ねると思った。
「調子こいてんじゃねぇぞ、テメェ」
どうやら、コイツらは俺が喧嘩してきた奴らの仲間で頂点に立つみたいだ。学校とかで報告して、ウチの仲間がお世話になったなぁみたいな。何処のヤクザだ。
「…脅しかよ」
「あ…?」
「ナイフなんか持ち出してさ、さっさと首切ればいいだろ。タマ、ちいせぇのな」
首に当てられたナイフを素手で掴む。ブツッと皮膚が切れて血が滲んだ。
あぁ、結構痛いのな…。
襟が血で染まっていき、5人は3人になった。ヤバイと思ったんだろう。確かに、今の俺はヤバイ。
「さっさと、殺せ」
「…っ!」
「ほらよ」
「っ…、うっせぇんだよ!」
ドガッと音がして、目の前は真っ暗になった。続いて、足に鋭い痛みが走る。ズボンが濡れていく…。
真っ暗の中で、俺は何か呟いた。

「…やば…、死んだ…。ごめん…、ツっちゃ……」
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