涙々~RUIRUI~

悲々


全て話し終えた涼哉は、自嘲気味に笑った。
わたしは、ただただ聞いているだけで気が付けば俯いている。途中では、耳を塞ぎたくもなった。でも、頑張って…、覚悟して涼哉は話してくれて、そんなことは出来なかった。
「そうだったんだ…」
やっと出た言葉は、何ともつまらないもので…。今にも消えそうだったことが自分でもわかった。

逆援をして、辞めたくても辞められなくなって、自己嫌悪して、喧嘩して、他人にぶつけて…。
お兄ちゃんのためとやっていたことが、次にはわたしのためになっていた。
わたしに援交をさせないため…。
確かに、わたしはお兄ちゃんに『金がない』と言われたら、涼哉のようにするだろう。だって、わたしはお兄ちゃんが好きだから。
涼哉はそこのことを知っていたんだ。伊達に家族、姉弟(兄妹)をやっていた訳じゃないみたい…。
けれど、わたしはそんなこと知らずに過ごしてきた。
涼哉が、頑張っていたこと。
涼哉が、無理をしていたこと。
涼哉が、苦しんでいたこと。
涼哉が…、わたしを好きなこと。
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