猫の世界と私
「結愛…」



震える声と共に、涙が頬を伝う。
受け止めたくない気持ちの奥に、もうどうにもならないことが分かっている。

前に瑛祐が倒れた時に結愛が言っていた、声を掛けても返事をしない、今、瑛祐はそれを体験している。
ホッとする瞬間ななんて訪れない。


現に今、結愛の名前を呼んでも、結愛は返事をしない。
これからもずっと…。


思い出して、凍りつく瞬間は度々訪れる。
瑛祐は、その度に結愛を思い涙を流した。
< 164 / 209 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop