猫の世界と私
2.新しい世界
「………え…?」



凝視したまま、結愛は一気に扉を開いた。
大きな音を響かせ、開いた扉の向こうに見えた景色は、明かり一つもない暗闇だった。

思わず結愛は振り返り、教室に降り注ぐ夕日と、見事な朱色に染まった教室内を見渡した。


それとは対照的な扉の向こう側。


廊下にも窓があるはずなのに、この暗さは何だろう。
瞬時に頭に過ぎるのは、この疑問だった。


結愛は一歩を踏み出そうと足に力を込める。


足先から血の気が引いていく。
緊張しているからだということは自覚できた。


胸が締め付けられ、動機が早くなっていくのが分かる。


そんな自分に、結愛はふと笑った。



「何か笑える…こんなに緊張して、こんなに不安になって…私、死んでるはずなのに…この感覚ってどこからくるのかな…」
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