°°ワガママの果て°°
°°ワガママの果て°°決意
「もしもし…おはようございます。
西里園夏ですが…急で申し訳ないのですが本日お休みを頂きたいです。」




翌朝、わたしは会社を休むために職場の事務に連絡を入れた。



「かしこまりました。
どうしました?体調不良ですか?」



「いえ……昨晩母が不注意で階段から落ちてしまいまして。入院するため付き添いをしなくてはならなくて…申し訳ありません。明日は通常通り出勤出来ますので。よろしくお願い致します。」






会社にも本当の事は伝えられない。
母の掛かり付け医は地元から離れた場所にあって、入院している間わたしは病院の近くのホテルに泊まり込みで看病をしてそこから直接仕事へ向かう。



そしてご近所さんに怪しまれないように2日に一回は洗濯などをしに家に帰らなくてはならない。



これが父との約束。


そんな父は朝早く何も言わずに長期の出張に向かった。






病院の綺麗な個室の中
ベッドで眠る母を見つめて心で聞いた。


”お母さんは幸せなの?”
< 69 / 160 >

この作品をシェア

pagetop