「異世界ファンタジーで15+1のお題」四




「ライアン!…それにシスター!」

その晩遅くなってから、シスターとライアンが外の扉から現れた。



「心配をおかけして、申し訳ありません。
ロジャーさんは、残念ながらまだ意識も戻らず……危険を脱したとは言えませんが、先生達がつきっきりで看護をして下さってます。
きっと……いや、必ず、助かりますよ!」

「……そうか……ありがとう、ライアン。」

ギリアスは、ライアンに向かって深深と頭を下げる。



「ギリアスさん、ロジャーさんのご家族はいらっしゃいのでしょうか?」

「……家族……」

「ロジャーさんは、うわ言で何度も『父さん』と呟いていらっしゃいました。」

ギリアスは唇を噛み、そのまま俯いた。



「ライアンさん、ロジャーには確か家族はいないはずですよ。
父親は幼い頃に亡くなって、母親はロジャーが子供の頃にあいつを置いて男とどこかへ行ったっきりだとか言ってましたから。」

「……そうでしたか…」

「ロジャーさんの所へは私が毎日様子を見に行って来ます。
お医者様もナースも信用出来る方ですから、ご安心下さい。
あそこにいらっしゃる限り、あの方は安全です。」

「ありがとうございます、シスター。
あなたにお願いして本当に良かった。
あのままだったら、今頃ロジャーは…」

ギリアスの言葉はそこで途切れ、シスターの手を両手で握り締め、頭を下げた。



「私は自分の出来ることをしたまでのことです。
あなたこそ、こんな新米の私を信じて下さってどうもありがとうございました。」

ライアンが彼女の名がシャーリーだと言うことを告げ、一同はそれをきっかけに各々自己紹介を始めた。
シャーリーはまだ18歳。
今年から正式にシスターとして仕事を始めたばかりだということだった。
空の異変の事を聞き付け、少し離れた町からこの近くに来た所、神父の体調が良くないからしばらく教会の仕事を手伝ってくれと、わけもわからないままにもう一人のシスター・カイヤと共にこの城に連れて来られたのだという。
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