先輩とアタシ


「じゃあアタシ友達待たせてるから。またね!」


あみさんは笑顔で手を振って帰っていった。


先輩も笑顔で手を振る。


やっと帰った。



あの人嫌だ。



そんなことを思ってしまう。



アタシって嫌な子?



ワガママばっかり言って‥‥‥。



「いやー!こんなとこであみに会うなんて。あいつの家ウチの向かいなんだよ?なのに最近なかなか見かけなくてさ!」



嬉しそうな先輩。



どんどんアタシの胸にモヤが広がる。



『ふーん‥。』



「あいつも久しぶりに見たら、女らしくなっちゃって(笑)。前はバスケやってたから、髪も短くてさ。」



そんな話聞きたくない。



アタシが不機嫌なの気付かないの?




それとも知らないフリしてるの?



モヤモヤの気持ちが、少しずつ怒りに変わる。



「あっ!そういえばプリクラだっけ?撮るか!」


やけにテンション高いし。



『‥やっぱいい。やめる。撮りたくない。』



こんな気持ちで撮りたくないし。



先輩があの人に会って浮かれてる時になんて撮りたくない。



そんなアタシの言葉と気持ちなんて、知らない先輩は、



「えーなんで?撮ろうよ。記念残すんだろ?ほらっ♪」



アタシの手を引っ張ってプリクラのコーナーに行こうとする。



『嫌だってば!!』



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