イージーラブじゃ愛せない
朝になって別れ際に年下の男の子は
「おねーさん、俺とちゃんと付き合わない?」
なんて、可愛らしい事を言ってくれたけど。生憎、年下を恋人として可愛がれるほど私は余裕のある女ではないのでお断りしておいた。
残念そうに笑って手を振る男の子に見送られての、ラブホからの出勤。
最低限の身支度はコンビにやらで買って整えたけれど、服は当然昨日のまんま。休みだったせいで少しカジュアルなんだよね。けどまあ、シャツワンピースだけどウエストマークデザインだから通勤服としてギリギリ許されるかな。
どちらにしろ早めに制服に着替えちゃおう、なんて思いながら幕張駅に着いて早足で歩く店までの道。
けれど。1番避けたかったシチュエーションにバッタリと出くわす。
「…………何考えてんの?」
静かに怒りを含んだ声と共に、後ろから肩に手を置かれた。
たまらなく面倒だなと思いながら振り返り、口角だけ上げて「おはよう」と冷静に挨拶を口にする。
「俺、昨日あれから胡桃に何回電話したと思ってんの?全然眠れなくて、どんな気持ちで一晩過ごしたと思ってんの?」
うるさいな。そんなのあんたの勝手じゃん。
わずらわしいジョージの言葉を交わすように、うんざりと目を逸らす。
「……ゆうべ、誰んとこに泊まったワケ?」
「関係ない。口出すな」
間髪入れずに答えると、肩を掴んでいたジョージの手にギュッと力が籠もった。