イージーラブじゃ愛せない


「あれーおっかしいな~何がいけなかったんだろ~」


恐ろしい味を生み出してしまい、冷や汗をかきながら俺は首を捻った。


「いやいやいや。どう考えてもコーヒー牛乳が隠れてないせいでしょ」

「カフェオレにしとくべきだったかなあ」


水を飲んで口の中を浄化しながら、俺はガックリと肩を落とした。

あーあ、大失敗。せっかく疲れて帰って来た胡桃に美味しい料理を食べさせてあげたかったのに。


「ごめんね胡桃、変なもん食わしちゃって。俺、コンビニ行ってなんか買って来るよ。何がいい?」


ショボくれながらそう言って席を立ち上がったけれど。

どういうワケか、胡桃は激マズカレーをパクパクと再び口に運び出すではないか。


「いいよこれで。せっかくあんたが頑張って作ってくれたんだから、これがいい」


…………出たよ。胡桃の得意技。クールに見えてメッチャ優しいの。


黙々とスプーンを口に運び続ける彼女の姿に、俺の胸がきゅーっとして熱くなる。

「そんな、無理しないでいいよ」

「これがいいって言ってんの。その代わりジョージはノルマ2杯ね」

「えっ」


なんかきびしーノルマ課せられちゃったけど。でも俺、嬉しくてすげー感動しちゃった。


俺ね、胡桃のこーいう所が好きなんだよ。こーいう所に惚れ込んでるの。

なんかね、無理しない優しさ。ちゃんと本心なんだなって思えるその優しさにすげー弱いの。
 
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