イージーラブじゃ愛せない
「5…4…3……」
胡桃ってほんとクール。フツー自分が告白されてる最中にカウントダウンとかしないよね。そーいうブレないとこも好きだけど。
って、考えてる場合じゃねーし!
この必死な想いをまだ10分の1も伝えきれてない事に焦った俺は、最後の手段に出る。
「…2…いち…っ!?」
ありったけの想いを籠めて、胡桃の唇にキスをした。
全部、全部、伝わるように。深く、深く、胡桃に飲み込ませる。
最初は咄嗟に抵抗して身体を押し返していた胡桃の手から、やがて力が抜けた。
――あきらめられません。あなたのこと。
2年近く片思いして、ずっと友達で1番側をキープして、一緒に笑い合ってくれるとこも俺の馬鹿に付き合ってくれるとこも、クールな顔して本当は凄く優しいとこも好きなアニメの話する時だけ乙女な顔するとこも、全部苦しくなるくらい大好きで。
こんなマジな恋、初めてなんです。
好きです。
ありったけの気持ちを乗せて重ねた唇を、冷たい風が数回吹き抜けた後、俺は名残惜しくもゆっくりと離した。