イージーラブじゃ愛せない


それに、ヤリチンだった過去を暴露されてその後に素直に抱かれるほど私はアイツに惚れちゃいないよ。


思い出してちょっと苛立った気持ちを押し流すように、私はトマトサワーの缶を開けて中身を喉へ流し込んだ。


馬鹿ジョージ。やっぱチャらい。何言われたってアイツに甘えるのなんか絶対にイヤだ。


温かくて心地好くてたまらないアイツの腕の中は、今までたっくさんの女の子を受け入れてきた場所なんだと思うとやっぱり嫌悪する。


恋人にはなれない、絶対に。

甘えたくない、甘えられない。縋りたくない、絶対に。


堅くそう思いながら齧ったコンビニのサンドイッチは砂を噛んでるみたいに味気なくて。半分も食べないまま私はそれをテーブルに放置した。


――美味しいご飯が食べたい。


実にシンプルだけどもう十何年も願い続けてる事を今日も思いながら、私はベッドに倒れこみそのままヤケクソで目を閉じた。


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