黄昏の特等席
 遊戯室から持ってきていないことを確認してから、手品を見せてもらうことにした。
 六枚のトランプを抜いて、その数字と絵柄を確認してから、そこから一枚だけ頭に思い浮かべるように言われた。

「思い浮かべたか?」
「うん」

 グレイスが頭に思い浮かべたのはハートの九。
 見えないようにしてシャッフルをした後、グレイスが選んだものを抜いてから、トランプを並べた。

「捲っていい?」
「どうぞ」

 残りの五枚を一枚ずつ捲ると、グレイスが選んだハートの九がなかった。
 驚いてエメラルドを見ると、彼が手にしているトランプーーハートの九を見せてくれた。

「どうしてわかったの!?」
「どうしてだろうね・・・・・・」

 グレイスはエメラルドに何度もやってもらい、彼は一度も外さなかった。
 他にもコインを使った手品やものを出したり消したりする手品も見せてもらった。

「いつから手品を?」
「君の年齢より・・・・・・少し若かった頃かな」
「じゃあ、かなりやっているのね」

 手品ショーが終わった後、トランプゲームをして遊び、勝負は引き分けとなった。
 
「ところでそのトランプは自分の部屋から持ってきたの?」
「そうだ」

 だけどこれは使用人から借りたものらしく、そろそろ返さなくてはならない。

「その人ともトランプをすることがあるの?」

 エメラルドはその人とたまにトランプで勝負をする。
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