黄昏の特等席
 その店はあまり目立たない場所にあるらしく、隠れ家に近い店。

「値段は他の店とそんなに変わりはないよ」
「脂肪の元をたくさん摂取したら、別だけどね」

 そのことを一人の先輩が言うと、もう一人の先輩が脂肪について言わないように怒っている。

「ふん、何よ・・・・・・」
「太るのは簡単なのだから」
「痩せることは難しいもの・・・・・・」

 グレイスが一番痩せていることを言われ、やっぱり自分は痩せているのだと思った。

「まさかアクアを太らせたいから、あそこへ連れて行こうとしているの?」
「この子の場合、どのスイーツを食べてもすぐに太らないわよ」

 毎日その店で食べ続けたら、話は別であることを言い添える。

「寒くなかったら、冷たいものを食べるのに・・・・・・」
「冬でもアイスを食べる人はたくさんいるよ?」
「何を考えているんだか・・・・・・」

 彼女にとって、寒い季節に冷たいものを食べることはありえないこと。
 それがどんなに甘く、美味しいものだとしても、絶対に食べたくないようだ。

「ところでアクア・・・・・・」
「何でしょう?」
「まさかそのままで行かないわよね?」

 偶然二人に会って、お茶に誘われたばかりなので、出かける準備をしていない。
 グレイスはコートも部屋にあるので、部屋に戻って取ってくることを伝えた。

「私達、門の前で待っているから」
「はい!」

 二人に頭を下げて背を向けると、後ろから声をかけられる。

「じゃあ、アクア。すぐに来なさいよ」
「また後でね」
「わかりました」

 手を振る二人に、グレイスも手を振った。
 彼女達と外出する前にコートを取りに行くことにして、門の前で会うことにした。
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