黄昏の特等席
黒い万年筆
 図書室へ行くと、エメラルドはソファで寛いでいるところを発見した。

「やっと来たね。アクア」

 グレイスからアクアに戻っていることを言おうか迷い、そのことには触れず、挨拶をした。
 本を読んでいるエメラルドから視線を外さずじっと見ていると、それに気づいたエメラルドが視線を合わせる。

「ところで、その本・・・・・・」
「ちょっと気になったからな」

 エメラルドが持ってきた本は『宝石言葉』という本で、宝石の写真が載っていて、その歴史や意味などが書かれている本。
 最初にエメラルドが開いたページはアクアマリンのところ。これは三月の誕生石で、宝石言葉は自由・純粋・聡明・忍耐・信頼など。
 穏やかで海のような癒しをもたらす。暗い照明で輝きを増し、困難に陥ったときに希望の光を示してくれる石でもある。内面の優しさを引き出し、精神状態に導いたり、健康、裕福で幸せな結婚・子宝などの効果がある。

「なるほどな・・・・・・」
「エメラルドは?」

 ページを捲ると、エメラルドは五月の誕生石。宝石言葉は幸福・精神的平和・新たな始まりなどがある。
 これは瞳を美しくする石でもあり、異性を魅了する力を与える。感情を静めて思考力が高まるため、異性との良い関係を築かせてくれる。知性に働きかけ、記憶力を高める、記憶を蘇らせると言われている。
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