黄昏の特等席
「店名を教えてもらって良かった」
グレイスはエメラルドが気に入っている黒い万年筆を売っている店を教えてもらい、それを彼にプレゼントするために外に出ている。
早く買って渡さないと、エメラルドに先を越されてしまう。
「急がないと」
全身を震わせながら、さっきより歩くスピードを上げて、店に向かう。
店に向かって歩いている間、エメラルドがグレイスの部屋に来たときの会話の内容を思い出す。
「あなたがものをなくすことって、あまりないよね?」
数ヶ月彼を見てきて、ものをなくしたところを見たことはほとんどなかった。
「それは君もだろう?」
「いや、私は・・・・・・」
グレイスは数年前から大切なものーーアクアマリンのペンダントをなくしていて、それが未だに見つからない状態。
いろいろな人達に見なかったか質問しても、全員首を横に振るだけだった。
あちこち歩き回って探したものの、見つからず、もう見つからないだろうと諦めているので、それ以上探していない。
「何かなくしているのか?」
「あぁ・・・・・・な、何でもない!」
「本当か?」
思わず肯定してしまいそうになり、すぐに否定すると、彼は訝しげに見てくる。
何でもないように見えることをエメラルドに言われても、グレイスはそれを言い続ける。
「すぐにそうやって隠したがるな」
「そんなことないから」
結局、グレイスはエメラルドに本当のことを話すことなく、彼もそれ以上知ろうとしなくなった。
グレイスはエメラルドが気に入っている黒い万年筆を売っている店を教えてもらい、それを彼にプレゼントするために外に出ている。
早く買って渡さないと、エメラルドに先を越されてしまう。
「急がないと」
全身を震わせながら、さっきより歩くスピードを上げて、店に向かう。
店に向かって歩いている間、エメラルドがグレイスの部屋に来たときの会話の内容を思い出す。
「あなたがものをなくすことって、あまりないよね?」
数ヶ月彼を見てきて、ものをなくしたところを見たことはほとんどなかった。
「それは君もだろう?」
「いや、私は・・・・・・」
グレイスは数年前から大切なものーーアクアマリンのペンダントをなくしていて、それが未だに見つからない状態。
いろいろな人達に見なかったか質問しても、全員首を横に振るだけだった。
あちこち歩き回って探したものの、見つからず、もう見つからないだろうと諦めているので、それ以上探していない。
「何かなくしているのか?」
「あぁ・・・・・・な、何でもない!」
「本当か?」
思わず肯定してしまいそうになり、すぐに否定すると、彼は訝しげに見てくる。
何でもないように見えることをエメラルドに言われても、グレイスはそれを言い続ける。
「すぐにそうやって隠したがるな」
「そんなことないから」
結局、グレイスはエメラルドに本当のことを話すことなく、彼もそれ以上知ろうとしなくなった。