恋するリスク
シーツ交換をしながらそんなことを考えていると、ペアで回っている穂乃香が、にやりと笑いかけてきた。

「なーに?恋のお悩み?」

「!?なに、突然。」

「だって、さっきからため息ばっかり。

それも、ブルーな感じじゃなくて、ピンクな感じの。」

「ウフフ」と笑いながら穂乃香は肩を震わす。

「ピンク!?見えるの!?」

「うん。まっピンクだったからね。」

頬が熱くなる。

私、そんなにわかりやすかったっけ?

「で?佐藤くんと何かあったの?」

身を乗り出して、穂乃香は意味深に笑いかける。

「ちょっ・・・!声、大きいから!!こんなとこじゃ話せないよ。」

私が「シーッ」と口元に人差し指を当てると、穂乃香はあわてて口を押さえた。

「あはは、そっか、ごめんごめん。

じゃあ、今日、予定なかったら飲みに行こうよ。」

声を小さくした穂乃香の誘いに、私はすぐにOKを出す。

甘い感情が伴う悩みは、誰かに聞いてもらいたくなる。

「うん。じゃあ、そのときに。」

浮き立つ声をひそめる。

シーツのしわを伸ばしながら、私たちは今晩の約束をそっと交わした。

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