恋するリスク
飲みに行くため、がんばって仕事を早く終わらせた私と穂乃香は、準夜勤の2人に挨拶をすると、ナースステーションを後にした。

2,3歩進んだところで、穂乃香が急に足を止める。

「あ!ごめん、ポーチ置いてきちゃった。」

「取ってくる」と言うと、穂乃香はナースステーションに戻って行く。

「じゃあ、先に休憩室行ってるねー。」

穂乃香に声をかけ、休憩室へと歩いていると、どこからか名前を呼ばれた気がして、私は後ろを振り向いた。

「藤崎!」

見ると、こちらへ向かって走ってくる西村先生と目が合った。


(・・・!)


「今、上がり?」

白衣をはためかせ、私の前で立ち止まる。

「・・・はい。」

仕事が終わった後まで、関わりたくないのに・・・。

私はうつむいて、小さな声で答えた。

「じゃあ、これからメシ食いに行かないか?」

「えっ・・・!?」

彼には珍しく、私を窺うように訊ねる。

「いえっ・・・すいません、これから、穂乃香と飲みに行くので。」


(どういうつもり・・・?)


そう、動揺したのを悟られないように、私はなんとか平然と答える。

「・・・柏木と?佐藤くんじゃなくて?」

「!!ち、違うよ!」

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