恋するリスク
「・・・!!!う、そ・・・。」

目の前が真っ白になった。

いま、確実に聞いた言葉だけれど、私の頭はその情報を拒否している。

震えているのか、それすらよくわからないほど、立っている感覚がなくなりそうだった。

「百瀬先生情報だけどね。

会えなくなるのが嫌なら・・・最後に会ってきたら?

もう、いないかもしれないけど。」

「!」

穂乃香の言葉を聞いて、私はそのまま病院を飛び出した。

会えなくなるなんて。

最後だなんて。

そんなこと・・・。


(そんなこと、絶対にいやだ!)


私はまだ、自分の気持ちを伝えてさえいないのに。

自転車に飛び乗り、人生最速のスピードでペダルを漕ぐ。

青い屋根のアパートの前で、自転車を乗り捨てるようにして降りると、私はそのまま駆け出した。

駐車場に入ったところで、佐藤くんの姿を発見した私は、息を飲んで立ち止まる。

はあはあと、荒い息を落ち着かせていると、彼の横にある、グレーのスーツケースが目に入った。







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