恋するリスク
耳元に落ちる声。

やさしくて、私の胸に、響いて溶ける。

もっと彼を感じたくて、離れたくなくて、彼の背中に手を回す。

「・・・オレが、どこかに行くと思いましたか?」

落ち着かせるように、私の髪をやさしく撫でる。

「だって・・・実家に帰るんでしょう?薬局継ぐって・・・。」

「え?」

「荷物ももう・・・まとめてるんでしょう?」

そう言って、スーツケースを指さした。

「これは・・・明日から行く出張の準備ですけど・・・。」

「えっ!?」

佐藤くんは、抱きしめていた腕をほどくと、私の涙を指で拭った。

「・・・その、オレが実家に帰るっていうのは、どっからの情報ですか?」

「穂乃香が・・・百瀬先生に聞いたって・・・。」

私がおずおず答えると、しばらく考え込んだ佐藤くんは、突然「ぷっ」と笑い出す。

「!?な、なに!?」

「いや・・・そっか・・・。

研修でずっといなかったから、どっかで情報が間違ったのかな。

確かに実家は薬局だし、将来は継ぐつもりでいますけど。

それは、10年後レベルの話ですよ。」




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