恋するリスク
「今もだけど。朝の態度とか、冷たいんじゃねえの?」

「・・・別に、普通ですけど・・・。」

ざわつく心を落ち着かせ、私はなんとか返事した。

「そうか?佐藤くんとは、めちゃくちゃ楽しそうに話してたじゃねーか。」

「あれこそ普通に話してただけですけど・・・。

・・・それに、フラれた人にやさしくできるほど、私の心に余裕はありません。」

なるべく冷やかにそう言うと、西村先生は「ふーん」と笑う。

「要するに、傷心状態で、オレと向き合えないって感じか。

忘れられなくてつらいんだな。」

西村先生は、私に顔をぐっと近づける。

「ちょっ・・・!近いし!!」

「言っとくけど、別に、真緒のことが嫌いで別れたわけじゃない。

おまえのことは、今でも好きだし。」

「は!?意味、わかんない・・・!!」

「さすがに同じ職場で二人同時に付き合うわけにもいかないし。

あっちはなんにも知らないしな。

・・・まあ、知らせるつもりもないけど。」


(あっちって・・・婚約者の人のことか。)


「ずいぶん、勝手ですね。」

「まあ、ヒドイ男なんだろ、オレは。自覚してる。」


(開き直った・・・。)





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