恋するリスク
才色兼備という出で立ち。

小柄でかわいらしく、知的な印象を感じさせるものの、近寄りがたい雰囲気はなくて、やわらかく、やさしい感じのする人だった。

ズキン、という胸の痛みを感じる。

それでも私は冷静に、目の前の人に判断を下す。


(この人がきっと・・・西村先生の、婚約者だ。)





4月の半ばを過ぎた、まだ少し肌寒い夜。

病院の近くにあるホテルの宴会場で、内科全体の新人歓迎会が開かれた。

外来や病棟に勤務する医師や看護師はもちろん、事務員や看護助手なども参加する、かなり大規模な催しだ。


(あー、なんでまたこんな日に、私は日勤なんだろう・・・。)


つくづくシフト運がない自分に、私はがっくりと肩を落とす。

毎年行われるこの大規模な新人歓迎会は、夜勤でもない限り、欠席することは許されない。


(せめて穂乃香がいれば・・・何かあっても心強くいられたのに。)



< 47 / 174 >

この作品をシェア

pagetop