恋するリスク
海沿いのレストランで昼食を済ませてから、水族館へとやってきた。

レストランの食事代も、水族館の入館料も、全て佐藤くんが出してくれている。

「なんか・・・ごめんね。私がお詫びする日なのに。」

「いえ。一日デートしてくれるっていうのが約束ですから。

主導権はオレに握らせてください。

藤崎さんは一緒にいてくれれば、それで。」

笑顔を向けられて、私の胸はドキンと震える。


(この笑顔は・・・ちょっとずるい。)


こんな顔で笑いかけられたら、ときめかないはずがないじゃないか。

かっこよくてさわやかで、時々かわいい仕草を見せる。

母性本能なのか恋愛感情なのか、はたまた両方を兼ね備えているのか。

とにかく私は佐藤くんの笑顔に、どうやらかなり・・・弱いらしい。

ドキドキと鼓動が早まる。

それを悟られないように、私は前を向いて「行こっか!」と言って歩き出した。



水槽のトンネルをくぐると、私たちを見下ろすように、大きなエイが頭上をゆっくりと通りすぎる。

小さな魚たちは、ゆらゆらとトンネルの壁を彩り、かわいらしい姿で見物客たちを楽しませていた。





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