恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
恋は水もの



課長の家で風呂に入る。それは、なんとも落ち着かない。

見渡すバスルーム。カビが生えていなくて清潔。シャンプーやリンス、コンディショナーの類いのボトルも滑りがないし、水垢もついてない。


ーーー入った後で拭いてるのかな? そうだ。髪の毛は、取らないと。


出来るだけ、ひっそりと入り髪の毛や何かも取り除いてゴミ箱へ捨てた。


ーーー人の家って、疲れる。早く城へ帰りたいよ。


がっくりしながら、洗面所の鏡を見た。スッピンの私。


ーーーこれ、まずいかな。でも、化粧しては寝られないし。前にも見せたから大丈夫だよね?


自前のタオルで髪を拭きながら、ダイニングルームを覗くと綺麗にテーブルセッティングされており、料理やサラダが並べられていた。


「わぁ〜、これ、どうしたんですか?」
驚いて声を上げた。

「あ、上がったか? 今、カボチャのスープ持ってくから座ってろ」
キッチンから現れた課長は、グリーンのエプロンをしていた。


ーーーやだ! 今度はエプロン王子!


私は、立ち尽くして料理とエプロン王子が行き来する様子を見ていた。

「ユイカ、どうした? 食べるぞ」

ーーー私が風呂に入っている間にこれだけの料理を作って、綺麗に並べたんだ。すごい。っていうか……。


私は、泣きそうになって唇を噛み締めた。
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