恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
「私を忘れてって………」
うつむく阿部さんから涙がこぼれ、床に落ちていった。
ーーーそれが、言いたかったこと? 嘘、もう二度と逢えない恋人に言うのが、それなの?
「七郎がついてきてくれたから、私は……寂しくないよって……あなたは、寂しがりやだから、早く他に素敵な人を見つけてって」
阿部さんは、床に頭をこすりつけて泣いた。
「そんなこと! 無理だ」
泣きわめくように叫ぶ阿部さん。
「無理でも……あなたの愛した女性が霊になってまで伝えたかったことでしょう?」
あくまでも冷静な課長が阿部さんの肩を掴んで、頭を上げさせた。
「そんな……俺には……無理です」
「彼女の想いを無駄にするんですか? 亡くなった彼女をいまだに心配させて、貴方はそれでいいんですか?」
真剣な顔つきの課長。
「阿部さん、こんな言い方は少し乱暴かもしれないが」言葉をきった課長は、阿部さんと視線を合わせた。
「幸せになってくださいよ。彼女を忘れて」
驚き目を見開く阿部さん。私もびっくりして課長を見た。