恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜

「犬?」
怪訝そうな表情をみせる課長。

ーーーしらばっくれても無駄。私の両隣は犬なんて飼っていない。上は、現在空き家だ。


「昨日の夜中にくうんくうんって鳴かせて。お腹でも減らしてんじゃないですか? 可哀想に」
大怪我に批判する私に課長は、近づいてきた。


「可哀想なのは、お前のココだ!」
言いながら、私の頭を人差し指でトントンと小突く。

「え?」

「俺の家のどこに犬がいたんだ? お前が俺の家に上がった時に一回でも犬を見かけたのか? もしくは犬用のエサ、ゲージ、首輪の類いを見たのか?」


ーーー見ていない。だが……。


「隠してるのかも」

「しっかりしてくれ。何故、犬を隠して飼うんだ? ペット禁止のマンションじゃないだろ?」

「ですけど……」

「なぜ、両隣じゃないとして俺の家なんだ? マンションというのは、繋がれた構造状、意外な所の音や声が伝わることなんか多くあるものだ」

「でも! 耳を床に当てたら良く聞こえたから…走る音とか鳴き声が……だから……てっきり課長の家だと」

課長が私の腕を掴んだ。

「心外だ。このままでは俺が犬騒音の犯人にされかねない。……来い!」

腕を引かれて、結局おかんむりの課長の家に入る羽目になった。
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