きみと世界が終わるまで


僕にはゆりあだけだと、これから先もきみがずっと好きだよと。


「……ゆりあ?」


後ろにいるきみの名前をそっと呼んだけれど、きみから返事が返ってくることはない。


蝉の鳴き声や風を切る音がうるさいから、僕の声がきみに届いていないのだろうかと思いもう一度呼んだけど、やっぱりゆりあからの返事はなにもない。


──ミンミン……。


蝉の声が弱まった。風の音も、少しだけやんだ。


耳を澄まして、僕は後ろにいるきみに集中する。


すると聞こえてきたのはスゥスゥという規則正しい息遣いで。


「なんだ、寝てるのか」


背中に乗っかる頭、僕を抱きしめるきみの両手、それらに意識を寄せそっときみの温もりを感じてみる。


──きみが、生きている。


確かに今、僕のそばで。


それを意識して、きみがいつもより愛おしく感じて、ああゆりあが大好きだと止まらなくなる。


「ねぇ、ゆりあ」


再び流れ始めた風の音に声を乗せる。


風の匂いもすべてが僕のそばにいるような、そんな気がする。


「僕はきみがずっと好きだから。ゆりあと出会えて本当によかった。僕は幸せ者だよ」


寝ているのならいいよねと、素直な気持ちをつらつらと述べていると恥ずかしくなって、顔が真っ赤に染まっていく。


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