きみと世界が終わるまで


それに安心したように笑うおばさんを見ながら、僕は自然を装うようにちらりと隣にいるゆりあに目をやる。


ゆりあは、悲しそうな顔をしてはいなかった。


嬉しそうな顔をしてもいなかった。


悲しいのか、嬉しいのか、切ないのか、またはそのどれでもないのか、全く読めない。


どこか遠くを見て。長い睫毛を揺らして。口元を僅かに緩めて。──微笑んでいた。


それから僕はおじさんとおばさんに頭を下げながらさよならをすると、自転車の後ろにきみを乗せて車輪を走らせる。


夏の5時はまだ明るい。


太陽の強さは弱まったとはいえ、日差しは完全に僕たちを焦がしていく。


どこかのおじさんが暑さを和らげるため水を道路に撒いたのだろう。


ところどころに水溜まりができていて、その水溜まりに太陽が反射してきらりと輝いていた。


……ゆりあは、さっきから何も話さない。


僕から特別なにかを話しかけたわけではないけれど、きみからも何も話してくれない。


さっきのお母さんの言葉を気にしているのだろうか、僕がゆりあ以外の人を好きになってしまうと不安になっているのだろうか。


それならば、きちんと伝えなければいけない。


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