不良リーダーの懸命なる愛

太陽の色

「じゃあ1番、里菜がやりまぁ~す♪」


「あ!顔はまだだからね!いきなりオイシイところやんないでよ!?」


「アタシも早くやりたぁい!」


「最初足なんてどぉ?もう理人に近づけないようにさ!!」


「あ。それいい~!」




キャハハハ!





笹原さんが角材を握りしめて私の太ももに当ててくる……!!


「……っ。」


「あれぇ~??なんか急に震え出してるよぉぉ??アンタの望みどおり、全身を使えなくしてあげるからもっと喜んだら?アハハ」


「…………。」


「…なによ、その目。あ!わかった!もしかして理人が助けに来ると思ってるんでしょ~!? “霧島くん、あたしを助けてぇ。” って!!」


「…………。」


「バッカじゃない!!アンタみたいなタイプが一番ムカつくんだよッ!!!いつまでも理人の周りをウロチョロして!!!ゴミのくせにっ!!!」


「霧島くんは………、っ霧島くんは私の “彼氏” なので、もう近づかないでください!」


「ーーーッ!!!??」




そうだ。



霧島くんは、私の大切な人。



私の……



彼氏。



それを笹原さんに言いたかった。



この人達が霧島くんの近くにいる限り、霧島くんは悩んで苦しみ続ける……。



だったら!!




「気が済むまでやればいいよ。もうこんな馬鹿なこと、二度としないように…。」



これで終わりにできるならいい!!



震えはいつの間にか止まっていた。




ギュッと拳を握る!




「許さない……。」





笹原さんがボソッと呟くと、目を怒らせて私を睨みつけた!!




「もう絶対許さないッ!!!!!!!」




笹原さんの悲鳴のような叫びと共に、
私に向かって角材が振り落とされようとした……!!!







バキイイィィッッ!!!








!!!





ポタポタと鮮血が落ちる……!






でもその血は私のではなかった!!



「…全然効かねぇな。これじゃあ准平の蹴りの方が、まだ痛ぇーし。」






うそ…!





「まぁでも、女子の力でそんなぶっとい角材折れんならたいしたもんなんじゃねぇーの?」



陽にあたってキラキラと輝くオレンジ色の髪。



いつもそれは、私の心に強く印象づけていた。





「霧島…くん……。」





角材を受け止めた霧島くんの左腕からは、
血が水のように流れ出ていた!!



「り、りひ……と…………。」



笹原さんが青い顔をして霧島くんを見ている。



手には折れた角材を持っていた!






「霧島くんッ!!!」





私を押さえ付けていた女の子たちを振り払い、急いで彼の側へ!



「霧島くん、血がっ!!!」




その時。






ギュッ。






!!!




「咲希……!」



力いっぱい抱きしめてくれた!!



そして、



「遅くなって悪かった。怖い思い、またさせちまったな。すまねぇ!!」


「う、ううん。こ……わく……なかったよ…?」


「でも震えてる。俺の責任だ。……咲希、ごめんな!?」


「……っ。」



どうしよ。


涙が出てきて止まらないよ……。



彼の温もりが安心感を与えてくれる。



ホッとしたら、震えも戻ってきてしまった……。



すると女の子たちが騒ぎ始めた。



「ちょっ!!理人帰ったって、アンタさっき言ってたじゃない!!!ちゃんと確かめたんでしょっ!!?どういうこと!?」


「なっ!!アタシはちゃんと確認したもん!下駄箱みたら靴無かったし!」


「なによ!!!それだけ!!?それだけで判断したの!!?信じらんないっ!!!」


「そうだよ!!全部アンタのせいなんだからね!!!」


「なにそれ!!!全部アタシのせいにして、アンタ達逃げようってワケ!?最低っ!!!」





すると。





「っるせんだよ!!!!!!」




「「「「ーーっ!!」」」」





霧島くんの怒声が炸裂した。



すぐ側にいた私の耳はキーンとしばらく鳴り響いていた!



や、やっぱり、迫力あるな…。



しみじみとそんなことを思っていると…。




「オイ!さっさと続きやれば?」



え??



続き??!



霧島くんがネクタイを外し、ワイシャツも脱ぎ捨てた!!





!!?




「咲希の代わりに俺がなってやるって言ってんダヨ。てめぇらの的(まと)に……!!!」
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