不良リーダーの懸命なる愛

異変

「やべぇな…。騒ぎを聞きつけて、校長の奴らが出てきやがったぞ。」


「え……?」


「ほら。職員用の出入り口から。」


霧島くんが顎で指し示す。



よく見ると、血相を変えた校長や先生たちの様子がうかがえる。



そこで私はハッとした!!



「き、霧島くん!あの、もうおろして下さい!ちゃんと立てるので!!」


「え?なんで急に…」


「とにかく、一回おろしてもらっていいですか!?お願いします!」


「…………………やだ。」




え!!




なんで?!!



プイッと霧島くんがそっぽを向いてしまった!


「でも!!霧島くんの腕の傷、早く止血しないとっ!!!」


「なんだ、そっちか。見てみ?けっこう上手くできてるだろ?傷つくるなんて日常茶飯事だからな。手当ては慣れてるんだ。」


「え?!あ、あの、抱きかかえられてるので、あまりよく見えないのですが……!?」


「あ。そういえばそうだな。」


「でしょ!?だからおろして下さい。傷の具合見たいので!」


「……………………やっぱりやだ。」





なんでよ!!!





「どうして…」


「だっておろしたら咲希、絶対俺から一歩………いや、二三歩は距離おくだろ?」


と、霧島くんが少しムッとした顔で私を見下ろしてくる。



「へ?なんでですか??」


「なんでって……。半裸だからだろ?俺。」


「はんら……。」





裸。







!!!!!






そ、そうだった!!!




意識しだすと、霧島くんの綺麗な鎖骨や鍛えられた胸筋や腹筋が、
私の視界いっぱいに広がる……!!





ひゃああぁぁ!!!





「お、おろして!!今すぐおろして下さい!!」


「わっ!おい、暴れるなって!わかった!わかったから!」


すると霧島くんは近くの階段へ、私をおろしてくれる。



心臓がバクバクと音を立てている!



そうだった!


忘れてたけど、


霧島くん今、



裸!!!



カァ~~ッと全身が熱くなってきて、
今の霧島くんをまともに見ることが出来ない!!



「ほら。傷の応急処置。うまいだろ?」


「え……?」


ひょいと目の前に見せられたのは、
ネクタイで止血された霧島くんの左腕だった…。



これって……、



ど、どうなんだろう……?!



「でも、やっぱり早くお医者さんに診せに行って…」


「わかったよ。ちゃんと医者に診せに行く。でも、もうちっとアレの結末を見ようぜ。」


「え…?」


霧島くんの視線を追うと、
さっきまで注目していた笹原さん達と暴走族とのやり合いに目がとまる。



「俺の勘だけど、多分……これは誰かが仕組んだんだろうな。」


「え!?し、仕組んだ!??」



うそでしょ……?!



「仕組む……って、そんな器用なこと、一体誰が……。」


「多分、俺らの身近な奴だな。それにかなりの用意周到さだ。咲希見てみろよ。校長たちの様子が明らかにおかしい。」




え……?
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