不良リーダーの懸命なる愛

ワガママ

霧島くんが私を連れてきてくれたのは、屋上だった!




「わぁ!初めて来たけど素敵なところ!!」


マンションでいうと5階からの景色を一望に堪能できる場所でとても広い。



「俺のお気に入りの場所!つーか俺とヤスしか入れないんだけどな、普段は。」


そういえば前にヤスさんから聞いたな!


「確か屋上の鍵の開け方。霧島くんとヤスさんしか知らないんでしょ?」


「え?……もしかしてヤスから聞いたか?」


「うん!本当はね、ヤスさんと二人で計画してたんだ!」


すると霧島くんがピクッと片眉を動かして反応した!



「………計画……だ?」



あ、あれ?



なんだかまずかったかな?!



こ、ここは正直に言った方がいいよね?


「あ、あのね!実は前に、ヤスさんと突然屋上に入って、霧島くんをビックリさせよう!って話をしてたんだ!あはは。」


「へー……。」



うっ!



やっぱりなんだか怒ってる?!



負のオーラが霧島くんからどんどん出てくるのを感じたっ!!


「お前ら、仲良いんだな?」


「え……!?あ、あの、でもさ!霧島くんって凄いよね!!」


「……何が?」



ジリジリと霧島くんが私に近づいて来て、
私もやや後ずさりしてしまう!



「ほら!さっきだってここに来るまでの間、霧島くんの友達がパンとか飲み物とかいっぱい “さしいれ” してくれたじゃない?な、仲がとても良いんだなぁ~。って!」


「あぁ。あれね。俺が咲希に夢中なのは、あいつら知ってたワケだし。その祝いも兼ねてだろうな。」



な、なんだろう?!



私いま、霧島くんにどんどん追いつめられてる気がする!!



気がつくと背中に金網が触れたっ!!!




う、後ろにさがれない!!!





カシャンッ





ぎゃあ!!



霧島くんが金網に手をかけたぁ!!



「そ、そそそうなんだ!な、なんか恥ずかしいね!みんな知ってるなんて。か、からかわれちゃうよね~!あはは!」


「まぁ、俺は構わねぇけどな?咲希は俺のもんって野郎どもにわからせて清々してるし?」



ちょっ!!



顔が近づいてくる!!!



「そ、そういえば!!准平くんは元気?!最近見ないよね?ヤ、ヤスさんも見ないな!うん!」


「……………。」



あ!霧島くんの動きが止まった!!



ホッと息をつく。



「あ!霧島くん!時間無くなっちゃうし、お昼にしない??私、今日はお弁当…」


「理人。」


「……え??」


「 “理人” なんだけど。俺の名前。」


「う、うん?そうだね?」


「…………。」


「あの……霧島くん?」


「…………呼んで。」


「呼ぶ??」


「 “理人” って呼んで。今すぐ!」


「え!!!?」


「じゃないと離さないから。」




ガシャン




わゎ!!



霧島くんの両手が金網に!!




私は霧島くんに捕獲されてしまい、
身動きが一切できなくなってしまった!!


「どどどどうしたの?!!いきなり!!」


「いきなりなんかじゃねぇよ……。ずっと思ってた。」


「え……?」


「ヤスや准平は下の名前で呼ぶのに、俺は咲希の彼氏になってもまだ “霧島くん” だし!」


「霧島くん……。」


「~~っなんか嫌なんだよ!あいつらに負けたみたいで!!」


かあぁぁっと霧島くんの顔が赤くなってゆく!




もしかして……。




「あの、霧島くん、もしかしてヤキモチ……?」



「ーーっ!!」



あ!



やっぱりそうみたい!?



そっか!


そうだったんだ。



なんかちょっと嬉しいかも……。




普段は見せない子供っぽい彼の甘えが見えて、
胸がじんわりと温かくなっていく……。




でもそれはただ地雷を踏んだだけで……!




「へー。……わかってんじゃん?」
< 125 / 151 >

この作品をシェア

pagetop