不良リーダーの懸命なる愛

赤い印

その夜ーー




あの後すぐにお母さんも帰ってきて、久しぶりに三人でご飯を食べた。


これもちーちゃんと唯ちゃんのお陰だな~!


お風呂出た後にお礼の電話しなきゃっ。


湯船に浸かりながら二人に感謝していた。


トロリとしたお湯が体の芯まで温めてくれて癒してくれる。



はぁ~。気持ちいい。



肩にお湯をかけていると左の首の付け根辺りが、ヒリヒリした。



ん……?



気のせい……かな。



ちょっと違和感が……。



首筋を手で触れると、なぜかあの時の事を急に思い出してしまった!!





『駄目ッ!!もうおしまい!!!』


『無理。続行。』


『ココか、咲希の弱いとこ。』


『ーーッ!!!そ、そんなことは!!』



『ちと、我慢して………。』


『ひゃっ!!っ!…………ン!』




!!!!!




わ、わ、わ、私は!!


な、な、なんてハレンチな事を考えてッ!!!


あの時の、霧島くんの口付けた時の湿った音がやけに耳の奥まで残っている!!


霧島くんのキスに頭の奥が痺れて、何も考えられなくなっちゃって………。



それで………





『んっ……ぁ………やぁ……。』




ひゃああぁぁぁ!!!




あ……あんな恥ずかしい声を私は耐えられず、だしてしまうなんて!!!



もももちろん、霧島くんに聞かれたよね!!!?


どどどどうしたらいいの!!?


あんな変な声を聞かれて、次会う時どんな顔して会えばいいのかわからないよおぉぉ~~~!!!!



お湯に浸かってるからか、それとも恥ずかしさからなのか、
私はもうのぼせる寸前だった……。



と、とりあえず、もう出よう…!


ザバーと浴槽からでて、脱衣所へと直行する。


ふと前を見ると鏡があり、顔が真っ赤になっていた!


まさにゆでダコだよ…。


入りすぎちゃったかな。



すると、あるモノに気がつく!




………ん?




なに……これ……??




鏡に近づいてよ~く見てみると、左の首筋のところに赤くなってるところがあった。



なんだろ?



虫さされ?




でも痒くないし、痛くもないし、傷とかじゃなさそうだし……。



綺麗に円を描くように痕があり、内出血してるみたい。




???




やっぱり怪我したのかな?でも何処で怪我したのか憶えてない……。


これだけ赤いんだもん。


憶えてないわけないのに……。


すると、また微かにピリッとした感覚が!


なんだろう……この感覚…。


その感覚がある場面を鮮明に思い出させてくれた!!





『ココか、咲希の弱いとこ。』


『ちと、我慢して………。』


『やっ……ぁ……。』


『………………よし、おしまい。』




!!!!!!!




そうだ!!



そうだよ!!!



あ、あの時、チクっとした痛みがあったもん!!!



じ、じゃあ……………



このアザみたいなのって…………………




キスの、痕!!?



それに気づいた時、霧島くんの言葉が蘇ってきた!





『跡つけただけで満足したのに。いつまでもそうしてっと、マジで唇にするぞ?』




「ひゃあぁぁ!!!」



あ、あ、あ、痕って、そういう事だったんだッ!!!



ペタン…と、その場に座り込んでしまった私。



人生初のキスマークをこんな目立つところに付けられてしまい、

私はどうしようもないくらい顔から火が出るほどの羞恥心で、胸がいっぱいになるのであった……。
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