突発性ヴァンパイア・ガール！

どれほど私は人の優しさに甘えていただろうか。


侑也の優しさ。


亜美の優しさ。


吉崎君の優しさ。


私の周りにはいつも優しくしてくれる人がいた。


どんな時も、いてくれた。


それに引き換え、私はどうだ。


誰かに優しさをあげられただろうか。


くれた優しさの恩返しをできただろうか。


答えは、NOだ。


だからと言って、私に何ができるか分からない。


私は何でもできるわけじゃない。


そんなに器用じゃないし、むしろできることの方が少ないだろう。


それでも精一杯、私の気持ちを伝えたくて。


声を震わせた。



「私は、亜美のことを親友だと思っていた。

侑也は、大好きな彼氏だった。


くれた優しさも、言葉も、全部嘘だったとしても、それだけで2人を嫌いになんてなれない。


それくらい、２人のことが好きだから。


だからもう一度、友達になろうよ」



私は手を差し出した。


「…でも…」


２人はばつが悪そうな顔で俯いた。


まるで自分達には友達になる資格がないとでも言っているようだった。


「何度だって、やり直せるよ」


私の言葉にハッと顔をあげた2人は信じられないというような顔をしていた。


「やり直そう、もう一度」


ね。


私が微笑むと、２人はおずおずと手を伸ばした。


それを見ていた吉崎君が、溜め息を吐くと強引に２人の手と私の手を繋いで、包み込むようにぎゅっと握った。


暖かい。


重なった手が、繋いだ手が、こんなにも暖かい。



「また、よろしくね」



今にも泣き出しそうな私の情けない声に、２人は泣きながら頷いてくれた。


吉崎君は珍しく笑みを浮かべていた。




こうして私達のちょっぴり変わった戦いは、ひっそりと幕を閉じた。